サブリースの闇
わたしは
サブリース業界に4年間程勤めていました。
本日は赤裸々に語ります。
これは大変な問題であることを今一度認識してほしいがために書きます。
勤めていた会社
社名は伏せておくが、
全国管理戸数トップ5に入っている会社であり、大手ハウスメーカーの子会社でサブリース業を展開している会社。
世間では大変名前が知られており、
大手企業だからいいよねぇ~なんてよく言われていました。
入社したきっかけは宅建を取り、大手に行きたかったという単純な理由。
ただの管理会社だろうと思っており、
サブリースがどんな業界なのかも知りませんでした。
仲介会社さんは今でも内情を知らないところが多く、御社の物件は家賃が高いねぇ~
ブランドってすごいねぇ~
なんて言われたりしていたんだよねぇ。
これも麻痺してくるポイントかな。
世間ではサブリース問題が話題になったりしているが、
賃貸業界ではあまり重要視されていない様子
実際に起こっていたこと
1)高額査定
建築会社は建て続けないと売上が立たない会社である、そうマグロと同じでに止まることはできない。
マグロって泳ぐの止めたら死んじゃうみたいだよ。
そのために、どんなとこでも建築推進していくし、何回も何回も断られても訪問しまくり、相手が折れるまで続ける。
そのため、田舎で周りが田んぼのところや、山の中にだって建てようと商談しに行く。
ハウスメーカーの担当が、地主さまのところに行き、提案させて頂く許可を得ると、
さっそく翌日には現地調査が入り、すぐに査定依頼書がサブリース会社である私の会社に飛んでくるのだが、これが一週間に3案件くらい来る。もちろん査定代なんてでないよ。
基本、査定依頼書が来ると、翌日には提出しないといけない暗黙のルールがあるんだな。
本来は、現地に行き、臭いや採光、交通量、周りの環境、賃料相場などしっかり調査の上で査定していくのだが、我々の会社の査定は、親会社が嫌がらない査定。
親会社の希望価格に沿う査定をしないといけない。
一度、私が、近隣の家賃相場を確認し確実に決まる価格の査定付け、査定書を上長に提出し押印をもらおうとすると、
「○○君、これじゃあ建ててもらえないよ!部屋が決まるとかは二の次、まずは建ててもらう査定をしなさい。」と、、、
わたしはそんな理由なら無視だ!正しい査定をしようと決めていた。
2)圧力
わたしは地主さまが地獄を見るケースを多く見てきた。何故なら、わたしが勤務し始めると、以前の担当者が査定して建ててもらったアパートの契約更新や家賃の改定時期が当然のように来るからだ。
その時に必ず、賃料減額の交渉をするので、「詐欺じゃないか!」とか、泣かれたこともある。
そんなことを繰り返したくないので、わたしの査定は厳格にするのを心がけていた。
査定書は上長の押印が必要で、上長を説得するために賃料が安い物件の資料をかき集め、何とか押印してもらったりしていた。
もちろん親会社の営業担当からは嫌がられていたようだね、
だって高い査定のほうが、地主さまに建ててもらえやすいのは当然だから。
そんな中、ある時、親会社のお偉い様から、わたし宛に電話があった。通常、親会社のお偉い様から末端の営業担当に電話をかけてくるなんてことはないのだが、、、
親会社の長:「お前か!○○ちゅうやつは!!」関西系の会社なので関西弁、いきなり怒鳴っている。
わたし:「はいっ、はい!わたしですが、、、」
親会社の長:「お前、舐めとったらあかんぞっ!!どない査定してんねんっ!!調子乗んなよ。うちの会社がどんな会社かわかっとんのんか?おぉ?」
わたし:「いや、舐めておりません。大家様にご迷惑をお掛けしないよう厳正に査定させていただきました。」
親会社の長:「いや、なめてんねん。これじゃ建たせれんやろっ!ほんま舐めとんな!やめさせたろか?」
わたし:「申しわけありません。。。」
親会社の長:「今すぐ査定しなおせや!!ほんまあかんわっ、建てさせてから、お前ら(子会社)でどーにかすればいい問題やろが、所長と替われ!!」
わたしは、上長である営業所所長に替わりました。
隣で立ちながら会話を聞いていました。
わたしの上長:「この度はご迷惑をお掛けしまして申し訳ございませんでした。私のチェックが甘かったようで、、、えぇ、、えぇ、承知いたしました。今回はお詫びとして勉強させてもらいます。それでは失礼いたします。」
上長からわたしに対して:「とりあえず、この価格で査定書だしといて!」
わたしに怒りはしなかったが、わたしが付けた査定価格より一部屋あたり1.5万円も高かったのだ。。。
近隣相場は1LDK33㎡で大体55,000円が妥当なのに70,000円の査定。。。
そんな感じの圧力を受けながらの査定なので、本当に正しいの査定ができなかった4年間でした。
不動産鑑定士がみたら、腰抜かすよね。
3)賃料改定
そんなべらぼうな家賃査定をするもんだから、、
ハウスメーカーの親会社は、「大丈夫ですよ!10年間は絶対家賃は下がりません!!サブリースが保証しますから安心してくだい。」なんて言うもんだから、、、
竣工後、2年目から家賃の減額交渉に行くことになるんだよ。
わたしが所属する営業所だけではなく、他の営業マン、他の営業所、全国の営業所でも横行していた。
サブリースの管理委託契約書には賃料相場があきらかに不相当となった場合、甲乙どちらかの申し出により、協議の上、賃料の改定を行うことができる。と記載があるため、
減額交渉に早速いくのです。
建築の時は笑顔で、家族、親族を呼び、地鎮祭にご参加いただき、竣工立ち合いの時には集合写真を撮って笑顔でお見送りするのだが、
2年後には減額交渉。。。辛すぎる。大変申し訳ない。
4)契約更新
最近の契約は10年契約の一括借り上げが多い。昔だと30年一括借り上げ!とうたっていたが、サブリース問題が取り上げられ、10年にしてリスクを回避するような傾向にある。10年過ぎたら、契約は一旦終わりなので、賃料を下げて再契約するなり、解約するなり自由にできるからである。これは管理会社保護のためですな。
なので、10年目以降はほぼ必ずと言って賃料を下げるし、付帯設備も一気にご導入頂く。インターネット・玄関キーの一斉交換・リノベーションなどなど。それにご納得頂けなければ当然のように解約を申し出るのだ。
必ず管理会社が儲けれるシステムだな。
5)解約
上記で記載したが、賃料交渉を大家様が拒絶すると、2年目では何とか据え置きで通ることが多かった印象。
ただし、
わたし達は本部から大変叱られる。
査定が甘いと。
お前が責任とれくらい言われる。
据え置きは条件付き承認だ。4年後には減額するか整わなければ解約しろと。
この文面は大家様との改定の覚書には記載しないが、社内の企画提案書に記載する。
なので、4年目には弁護士を入れて解約することなんてざらにあった。
そうなると、大家さんは泣く、もしくは怒って、詐欺師一生来るな!ってなる。
当然だよね、営業担当なんだから。
私たちが交渉に行くと、大家さんは、建築主のハウスメーカーに苦情を入れる。
すると、なんと、ハウスメーカーは大家側に付き、解約はないだろう!!なんとかしろっ!!言ってくるんです。(茶番劇)
めちゃくちゃな査定をすると
4年も経つ頃には逆ザヤが爆発し、ものすごい負債を抱えることになっているため、どうしようも出来ない状態となっている。
そこで、一般管理委託に移し、他社にお願いする。こんなことをやってきました。
6)会社の評価基準
そんな鬼のようなサブリース業界でも
昨今、人口の減少と、過剰供給に伴い、サブリース会社は利益が出ない。
売上は上がるんです。なぜならば、建てば建つほど、家賃収入が入るからだ。ただし、高い査定をしているので、逆ざやになり、利益がでなくなるから、利益がほしいのです。
そんな中、評価の対象は、利益の創出に限ります。
どうするか?
- 逆ザヤ物件の解約
- 賃料の値下げ交渉
- リフォーム工事の利益率
この3点に限る。
社内では、すでに麻痺をした社員が上長になっており、また威張っている。
「次はどの家主をつぶす?」「この家主キャッシュアウトするな(笑)」
などの会話が横行している。
そして先日、「関西で社長賞を取った凄い社員がいるらしいぞっ」と他営業所の同僚から聞いた。「なんか動画がアップされているみたいだから、見ようぜ」
と社内HPに表彰式の動画が上がっていたため、確認してみた。
(動画の内容)
「表彰!!今期、○○営業所の○○社員は賃料値下げを100万円以上こなし、他の社員の模範となり当社に多大なる利益をもたらし、、、、、、省略」
そしてその社員はなんといきなり飛級でイチ営業から営業所主任になり、所長研修も受けている始末。なんとおぞましい。
給料
仲介会社から、いいよねぇ大手は、給料よくて。休みもあって。
わたしは入社4年目にして700万円を貰っていた。
だけど、、この給料は、大家様、地主様から搾取した汚い金である。
と思い始めたら、続けていくのは難しくなった。
後悔と勉強
わたしはこうしてサブリース問題の最前線を実感し、恐怖心と不信感を頂くようになった。そしてお金の回り方。すべて見させて頂いた。
大家様方々には本当に申し訳ない思いしかありません。この経験を活かし、今度は大家様方々に貢献して行きたいと思い、転職しました。
だけど全ての大家様が苦労しているわけではなく、海沿いの津波災害警戒区域で、入居が全くないところに、サブリースをして、銀行の金利を下げてもらい、収入を上げた実績もある。ごくわずかだが。
なんでサブリースをしてまで建築するのか?
相続対策が原因
建物を建てた土地評価額は1/6になるので、相続時に膨大な金額を払う大地主の人たちは建ててしまっている現状である。
もともと農家さんが多いので、不動産経営に知識もなく、
サブリースの契約組む際もリスクの説明はすべてするのだが、おそらくなんのこっちゃわかっていない。それに、お金を稼ごうと思っていないところから、収支に無頓着なのである。そこに漬け込むハウスメーカーの巧みな言葉にやられるのだろう。
一度建てたら、どんどんどんどん建てさせられてしまうのが地獄であり、
サブリース問題なのである。
今回は一部ではあるが、ここまでにしときます。
わたしは不動産業界が健全で、未来に向かって成長してく業界であるよう活動を続けていきます。
また次回。
オーケーシーユーバイバーイー